平城京西エリアに広がる菅原遺跡内で奈良時代の建物跡が見つかり、その時代には異例な円形をしていたことがわかったとのこと。2021年5月20日、発掘調査を行った元興寺文化財研究所が発表しました。
発表内容はこちら(元興寺文化財研究所 遺跡解説資料)→ http://www.gangoji.or.jp/index/2020sugawara.pdf
建物跡が発見されたのは奈良市疋田町4丁目。宝来ICからあやめ池への方向。場所はこの辺りのようです。
宅地開発に先立って行われた発掘調査で発見されたそうで、現時点のGooglemapでは一面緑ですがすでに全面造成されているようです。ここが全部住宅街になる予定なんですね。
解説資料によると、建物の配置からお堂であると考えられているそう。上部の構造は検討されているようですが、中国にあったとされる円形の仏塔を参考にしているのではという案が有力とのこと。
こういった円堂建築は個人を供養する供養堂としての機能を持っていたと考えられており、今回の建物については「行基菩薩」を供養したものではないかと見通しされているそうです。
奈良市民の多くはご存知かと思いますが、行基菩薩と言えば近鉄奈良駅前の「行基像」。疫病流行や貧困に苦しんだ奈良時代に町を整備しながら仏教の教えを広め、東大寺建立に力添えしたことが有名な高僧です。行基さんが建立した「長岡院」という寺院が今回の現場辺りにあったとされる記録があること、行基さんが亡くなった時期からこの説はかなり有力であるようです。
残念ながら事業者と折り合いがつかず、この遺構は記録されたのち土地開発を進める予定とのこと。
ところでこの場所は高台になっており、平城京が一望できる立地。二条の延長線上にあり平城京の向こうにはちょうど東大寺大仏殿が位置しており、つまり若草山がめちゃくちゃよく見える場所。
この場所が住宅街になることには賛否あるかと思いますが、こんなに良い立地でさらに遺跡が見つかった場所に住めるというのは、なんだかすごく面白いなぁと思います。
いつの日か開発が終わったら散歩しに行きたい。
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